日本の医療はとても充実していて、いつでも必要な医療を受けられる恵まれた社会です。ただ、その恵まれた医療は、医師の方々の激務や日々の努力によって成り立っているのが現状です。

では、医師のワークライフバランスは、うまく成り立っているのでしょうか。おそらく、多くの医師が「なかなか難しいな…」と悩んでいることでしょう。多忙な医師には、ワークライフバランスなど考える暇も余裕もないかもしれません。

「ワークライフバランス」とは?

「ワーク(仕事)」と「ライフ(生活)」の「バランス(調和)」。

すなわち、仕事とそれ以外の時間(私生活)をうまく調整して、どちらも充実させていくことを目指す考え方ですが、実情はどうでしょうか。

「ワーク」に傾いてしまって、「ライフ」が充実していない人が多いのではないでしょうか。中でも日々忙しい医師にとって、ワークライフバランスを保つことは困難で、自分の働き方や将来について不安を感じることもあるのではないかと思います。

では、ワークライフバランスを考える上で重要なポイントは何かというと、

  1. 仕事のやりがい
  2. 適正な勤務時間・十分な休暇
  3. 十分な報酬
  4. 充実したプライベート

といったところかと思いますが、現実はどうでしょうか…?

仕事が楽しくやりがいがあり、勤務時間もほどほどで、報酬も高く、私生活も充実!…だったら、最高の人生ですよね。

ただ、それは医師に限らず、多くの働く人にとって実現するのが難しいことです。仕事にやりがいは感じるけれど報酬には満足できていない人、仕事内容は好きではないけれど高い報酬のために働く人、とにかく忙しく時間に追われている人、等々。

医師の場合は、どうでしょうか。

仕事のやりがいについては、人の役に立つことができ、沢山の人に感謝される職業であると思いますが、勤務時間と報酬についてはどうかというと、報酬は高い水準にあると思いますが、勤務時間は長時間で激務であることが多い傾向でしょう。そうすると、はたして報酬は高いといえるのかどうか…。

時間に余裕が無いと、プライベートの充実も難しく、ワークライフバランスが成り立つわけがありません。

病院・常勤勤務医の週当たり勤務時間の内訳

 出典:08 参考資料3 医師の勤務実態について (mhlw.go.jp)

週当たり勤務時間が80時間以上の医師がいる病院の割合

 出典:08 参考資料3 医師の勤務実態について (mhlw.go.jp)

週当たりの勤務時間が60時間だと、休日の取得状況にもよりますが、1日当たり約10~12時間の勤務ということになります。非常勤のアルバイトもしている場合、さらに長時間の勤務となります。週当たり80時間だと、1日当たり約13~16時間の勤務ということに…。休日も満足に取得できず、連日の長時間勤務を続けざるを得ないケースもあることでしょう。

勤務時間が長く激務になると、心身の健康を保てず、睡眠不足や疲れの蓄積によって思わぬミスにつながってしまうこともあります。また、救急科や外科、産科など激務といわれる診療科の医師が、その過酷さから辞めてしまったり、そもそも多忙な診療科を避けるという傾向にもあります。

そうなると、医療を受ける患者にとっても、いつでも質の良い安全な医療を受けることができなくなってしまうことにつながるため、社会にとっても不利益なことになります。医師の激務の問題は、医師だけの問題ではないといえるでしょう。

医師という職業は、社会にとって必要な職業です。また、生涯を通して長く活躍できる職業でもあります。

ですが、日々の激務に追われて健康を害してしまっては、そのうち気力まで衰えてしまい、意欲がわかなくなって、医師として長く働いていくことが困難になってしまいます。そうならないためにも、ワークライフバランスを整え、気力体力ともに充実させていくことが大切なのです。

理想のワークライフバランスを手に入れるには?

まずは現状を踏まえて、自分にとってベストなバランスを考えることが必要です。

理想的なワークライフバランスというのは、人それぞれです。
それぞれの価値観によって、男女によって、また、人生のステージによっても違ってくることでしょう。

専門医を目指して頑張る若い医師であれば、体力の許す限り仕事を最優先するでしょうし、結婚したり子供がいる医師であれば、家庭や子育てにかける時間を作らなければならないでしょう。

特に女性の場合は、出産や育児のために仕事量を減らしたり、子育てが一段落したらまた増やしたいと思うこともあるでしょう。開業資金を貯めたい、子供を医学部へ行かせたい、などの理由で報酬を重視することもあると思います。

また、医師というのは、責任とやりがいのある職業です。時間や報酬に拘わらず、治療や研究に勤しむ医師も数多くいることでしょう。

大切なのは、自分にとっての優先順位を考えて、現状を見直し、どう変われば理想のワークライフバランスを手に入れられるかを検討していくことなのです。現状に不満や疑問を感じるなら、早めに対策を講じていきましょう。

最優先が「時間」や「充実したプライベート」の場合

理想的な勤務時間は1日当たり8時間、休日は週休2日、といったところでしょうか。

しかし、前述の通り、現実的には1日当たり10時間以上の勤務をする医師が少なくありません。休日も十分に取れなかったり、当直やオンコールなどの拘束時間もあったりすることでしょう。

また、非常勤のアルバイトなどもしている場合は、さらに時間の余裕は無く、プライベートを充実させることは難しいでしょう。

では、どうすればよいのでしょう。

まずは、勤務体制や労働環境の改善が必要ですが、これは自分だけでどうにかできることではない場合が多く、難しい問題です。

報酬よりも時間やプライベートが最優先であるならば、雇用形態を変えてみたり、アルバイトの日数を減らしてみたりする方法もあります。

また、思い切って転職する、という選択肢もあります。
医師の転職は決して珍しいことではないので、ワークライフバランスを改善するために検討してみてもいいでしょう。
ただ、現状より楽になることばかり求めてしまうと、医師として貴重な経験や症例を積む機会を失ったり、本来の仕事のやりがいを失ったりしかねないため、注意が必要です。

2024年4月から「 医師の働き方改革 」のための制度がスタートします。これは、医師が健康に働き続けられるように環境を整備する取り組みで、長時間労働を是正するために時間外労働の上限規制を設ける制度などが盛り込まれています。

医療機関には、適切な労務管理を行い、医師の勤務環境を改善して整えていくことが求められます。この取り組みによって医師の勤務環境の改善が実現されれば、医師の健康が確保され、ワークライフバランスも整い、より良い医療の提供へとつながることでしょう。

最優先が「報酬」の場合

医師の報酬水準は高いですが、勤務時間の長さなどを考えると割に合わない…と感じる医師がいても不思議ではありません。

また、先に述べたように、開業を目指している場合や、子供を医学部に行かせたい場合など、より多くの収入を必要とするケースもあるでしょう。

少しでも収入を増やすために、非常勤のアルバイトをしたり、副業や投資を試してみたり。そのためには、限られた時間や体力を費やさなければなりません。そうすると、収入は増えても、体力は消耗していき、長くは続けられないでしょう。

もし時間や労力をかけずに副収入、いわゆる不労所得が得られれば、貴重な時間や体力を犠牲にする必要がなくなるでしょう。ですが、そんなことが可能でしょうか?

これについては、ひとつの解決策をご提案できます。
それはずばり不動産投資です。

不動産を賃貸して家賃収入を得る方法ですが、これは時間も手間もかけずに副収入が得られ、また節税対策としてもオススメの方法です。

医師としていつまで現役で働いていくのか、その先の収入はどう確保するのか、といった問題の解決にも役立つ方法ではないかと思います。

詳しくは、「 医師と不動産投資は相性がよい!その理由とは… 」をご参照ください。

医師の皆さまのワークライフバランスを改善する上で、一助となることができると思います。

現在のワークライフバランスを整えて理想化できたら、長期的な視点で将来のことを考えてみることも大切かもしれません。

ライフステージに合わせて、その時々で調整しながら、より良いバランスを維持していければ、仕事もプライベートも充実し、より良い人生になることでしょう。

ここまで、医師のワークライフバランスについて考えてきましたが、人生の充実を感じるポイントは人それぞれでいいのですから、それぞれが理想のバランスを設計し、そのプランを実現していくこと、それぞれの最適なワークライフバランスが整うことこそが、大切なことなのだと思います。

⇒ワークライフバランスについて相談してみる