いまや、各メーカーから様々な種類のパソコンが発売されていますが、選択肢が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない…という方も多いのではないでしょうか。
お忙しい医師の皆さまにとって、ストレスなく動くパフォーマンスの良いパソコンは、欠かせないものだと思います。
どんな性能のパソコンを選べばいいのか、持ち運びに便利なノートパソコンのオススメについてご紹介していきます。よろしければ参考にしてみてください。
目次
使用目的は?
まず、医師の皆さまがどんなときにパソコンを使うのか、あげてみましょう。
◆検索・閲覧
医学論文の検索や最新情報の収集、様々な調べ物をするとき。
◆論文の作成
医学論文のデータまとめ、執筆作業をするとき。
◆プレゼン資料の作成
学会発表や講演などのスライド作成・編集をするとき。
◆オンライン会議・セミナー
病院スタッフや医師同士でのオンラインミーティングや、オンライン医療セミナーなどに参加するとき。
◆その他、書類作成・管理
様々な書類の作成や、スケジュールなどの管理をするとき。
以上のように様々な目的でパソコンを使用すると思いますので、それに適するノートパソコンを選ぶことが必要です。
Mac or Windows?
最初に迷うのが、OSはMacか、Windowsか? という選択でしょう。
結論からいうと、どちらでもよいでしょう。好みの問題です。スマートフォンがiPhoneでもAndroidでも問題ないのと同じようなことかと思います。
もし特にこだわりが無いなら、Windowsをオススメします!
その理由はいくつかありますが、まず、病院やクリニックなどで使用されているパソコンのOSは基本的にWindowsで統一されている傾向にあり、電子カルテなどもWindowsが主流です。操作の慣れという観点でいうと、自分のパソコンもWindowsであれば、使いやすいでしょう。
外部機器との接続についても、MacよりWindowsのノートパソコンのほうが接続ポートが多く、医療現場や会議の場などにおいて、機器との接続がしやすいという利点があります。
また、医師の皆さまは、学会発表のプレゼン資料や様々な書類作成にMicrosoft Office(PowerPoint・Excel・Word)を使うと思いますが、MacはMicrosoft Officeとの互換性が良くないといわれていたり、Windowsとの間でファイル共有がスムーズではないこともあったりします。最近は、そのような問題は解消されてきていますが、自分がよく使用するソフトとの互換性や、ファイル共有するパソコンのOSも考慮するとよいでしょう。
OSでトップシェアのWindowsは、多種多様なスペックやデザインのモデルが販売されており、価格も様々でバリエーションが豊富です。価格面でみると、同等のスペックならWindowsのほうが安く、コスパが良いでしょう。
とはいえ、Macは、性能もデザイン性も高く、iPhoneやiPadとの連携がスムーズです。ノートパソコン本体が薄くて軽いので、持ち運びしやすい点も魅力的です。自分の好みやパソコンの使用目的、予算に合わせて選ぶとよいでしょう。
オススメのスペック
【 CPU 】
CPUとはCentral Processing Unit(中央演算処理装置)、パソコンの「頭脳」といわれるパーツです。CPUの性能が高いほど、処理速度が速く、マルチタスクもスムーズにこなせたりします。
CPUの性能は着々と進化していますが、とにかく高性能なものを選べばよいというわけではなく、使用用途によって違ってきます。むやみに超高性能なものを選んでも、その性能を引き出すほどの作業をしないなら、意味がありません。高性能なCPUほど価格も高くなるので、無駄な出費となってしまいます。
では、どの程度のCPUが搭載されていればよいのでしょう?
パソコン向けのCPUは、intel製とAMD製のものがシェアの大半を占めています。(Macの場合は、Apple製)
intel製は一つの作業を高速で処理するのが得意で、AMD製はマルチタスクを効率よく処理するのが得意といわれますが、通常の使用であれば、どちらでもよいでしょう。
それぞれのオススメシリーズは、以下のとおりです。
intel ⇒⇒ Core i5 ・ Core i7 (第12世代以降が理想)
AMD ⇒⇒ Ryzen 5 ・ Ryzen 7 (5000番台以上ならOK)
基本的にシリーズ(グレード)の数字が大きくなるほど性能も価格も上がると思っていいですが、各CPUには「世代」があります。
例えばintelの場合、下記のような表示で赤字部分が世代となっており、「第12世代」ということになります。
「 Core i5 - 1235U 」
新しいシリーズでも、世代が古いと性能が良くなかったりしますので注意が必要です。
特に中古のパソコンを購入する場合などは、世代もよくチェックするとよいでしょう。
他にもコア数やスレッド数、動作周波数など、細かなチェックポイントはあります。
さらに興味がある方は、CPUの性能評価の指標(ベンチマーク)を測るテストの一つである「PassMark」のベンチマークスコアなども参考にしてみてください。
医師の皆さまの場合、プレゼン資料の作成などでPowerPointやExcelなどがスムーズに動作して、オンライン会議などでもストレスなく使用できれば十分かと思いますので、必要以上にハイスペックなものを選ばなくても大丈夫です。
趣味で動画編集をしたり、負荷が大きい3Dゲームなどをする場合は、高性能なCPUだけでなくGPU(画像処理装置)の性能も求められますので、個人の用途に合わせて選びましょう。
【 メモリ 】
メモリとは、CPUが処理中のデータを一時的に記憶する場所です。基本的にはRAM(Random Access Memory)のことを指します。
メモリは、「作業をする机」によく例えられます。机が広い、つまりメモリの容量が大きいほど、複数の作業を並行して効率的に行うことができる、というイメージです。
医師の皆さまも、複数のページを開きながら論文を作成したり、プレゼン資料を編集したりすることがあると思います。複数のタスクを適切に処理したり、大容量ファイルを迅速に開いたりするには、メモリに余裕があったほうがよいでしょう。
オススメのメモリ容量は、16GB以上 です。
8GBでもよいですが、価格差は1万円ほどで性能差は2倍になりますので、16GB以上にしておくことをオススメします。より快適に長く使用できるでしょう。
【 ストレージ 】
ストレージとは、様々なデータを保管する「記憶領域」のことです。前述のメモリが一時的な保存であるのに対し、ストレージは長期的にデータを保管する役割を担っています。
メモリを「作業机」とするなら、ストレージは「引き出し」に例えることができます。引き出しが大きい、つまりストレージの容量が大きいほど、たくさんのデータを保管できるということになります。
ストレージには、SSDとHDDという種類があります。
SSD(Solid State Drive)は、データの読み取りや書き込みの速度が速く、静音性や耐衝撃性が高いという特長があります。
HDD(Hard Disk Drive)は、最大容量が大きく、SSDに比べて安価ですが、衝撃に弱く動作音が発生するというデメリットもあります。
医師の皆さまはノートパソコンを持ち歩く機会もあるかと思いますので、衝撃などに強いほうが安心でしょう。処理速度も大幅に違いますので、SSDをオススメします。
ストレージの容量は、256GB以上あれば十分でしょう。
もし容量が足りなくなれば、増設したり、外付けのデバイス(USBメモリ等)を使うことも可能です。また、インターネット上にデータを格納するクラウドストレージなどもあります。
【 ディスプレイサイズ・重量 】
ノートパソコンの画面は大きいほど見やすく、作業もしやすくなりますが、そのぶん本体の重量も重くなります。
学会や講演会への参加など、ノートパソコンを持ち運ぶ機会のある医師の皆さまには、ディスプレイサイズは13~14インチをオススメします。A4サイズに近く、鞄に入れるには最適なサイズでしょう。
持ち運ぶことを想定すると、重量は1kg~1.5kgがオススメです。
軽ければ軽いほど持ち運ぶには最高ですが、軽量モデルの場合、バッテリーの持ちが悪かったり、高価になってしまったりします。
また、軽量モデルは、本体を軽く薄くするために、接続ポートが少ない場合があります。医師の皆さまは、学会発表やカンファレンスなどでスライドをプロジェクターなどに提示したりする機会があるかと思いますが、その際にHDMIポートが無いと困りますので、変換プラグを準備しておく必要があります。
ノートパソコンを持ち運ぶ頻度や価格なども考慮して、ベストなサイズ・重量のものを選びましょう。
【 Microsoft Office ソフト 】
医師の皆さまは、様々な資料作成などでPowerPoint・Excel・Wordを使う機会が多いかと思いますので、Microsoft Officeソフトが付いているものがよいでしょう。
「Office Personal 2021」と「Office Home & Business 2021」がありますが、「Office Personal 2021」にはPowerPointが含まれていません。医師の皆さまは、プレゼン用のスライド作成などでPowerPointを使用すると思いますので、購入するパソコンにどちらのOfficeが付いているのか、注意しましょう。
また、サブスクリプション型(年額制・月額制)の「Microsoft 365」もありますので、ソフトの使用頻度などに合わせて選んでもよいでしょう。
ちなみに、Macのパソコンには、Mac版のOfficeを入れる必要があります。
▼▼ オススメのスペックについて、下の表にまとめておきます ▼▼
オススメのノートパソコン5選
では最後に、現在オススメのノートパソコンをピックアップしていきます。
Lenovo ThinkBook 14 Gen 6
( 画像出典:レノボ・ジャパン 公式サイト )
◆OS : Windows 11 Home
◆CPU : AMD Ryzen 5 7430U
◆メモリ : 16GB
◆ストレージ : 512GB SSD
◆ディスプレイサイズ : 14インチ
◆重量 : 約1.4kg
◆Microsoft Office Home & Business 2021付き
高速なSSDと大容量メモリで快適に作業できます。クリアな画像、豊富な接続ポート、
米軍調達基準に準拠した高耐久性などが特長です。
※Lenovoなら、IdeaPad Slimシリーズも人気があり、オススメです。
HP Pavilion Aero 13-bg(スタンダードモデル)
( 画像出典:日本HP 公式サイト )
◆OS : Windows 11 Home
◆CPU : AMD Ryzen 5 8640U
◆メモリ : 16GB
◆ストレージ : 512GB SSD
◆ディスプレイサイズ : 13.3インチワイド
◆重量 : 約990g
◆Microsoft Office Home & Business 2021(デジタルアタッチ版)
重さ1kgを切る超軽量モデルです。ロングバッテリー、急速充電機能、高精細ディスプレイなどが特長です。HDMIポートやUSB Type-C充電方式など、外部接続ポートも充実しています。
Dell Inspiron 14 ノートパソコン
( 画像出典:Dell日本 公式サイト )
◆OS : Windows 11 Home
◆CPU : intel Core i5-1334U
◆メモリ : 16GB
◆ストレージ : 512GB SSD
◆ディスプレイサイズ : 14インチ
◆重量 : 約1.54kg
◆Microsoft Office Home & Business 2021 + Microsoft 365 Basic試用版
重量は他のものに比べるとやや重めですが、設置場所によって発熱を抑えるアダプティブサーマル機能や、長持ちバッテリー、高耐久性などを備えつつ、コスパが良いの が特長です。スペック等は、様々にカスタマイズできます。
富士通 FMV LIFEBOOK UH90/H1
( 画像出典:富士通FMV 公式サイト )
◆OS : Windows 11 Home
◆CPU : intel Core i7-1360P
◆メモリ : 16GB
◆ストレージ : 512GB SSD
◆ディスプレイサイズ : 14インチワイド
◆重量 : 約848~858g
◆Microsoft Office Home & Business 2021付き
日本製がいい!という方にオススメです。超軽量でありながら堅牢な設計で、持ち運びに便利です。長時間駆動のバッテリーや、充実の接続ポートを備えています。スペック等は、カスタマイズ可能です。
Apple MacBook Air(M2)
( 画像出典:Apple日本 公式サイト )
◆OS : macOS
◆CPU : Apple M2チップ
◆メモリ : 16GB(カスタマイズ)
◆ストレージ : 256GB SSD
◆ディスプレイサイズ : 13.6インチ
◆重量 : 約1.24kg
◆Microsoft Office : Mac版ソフト購入必要
やっぱりMacが好き!という方にオススメです。デザインが良く、薄くて軽量です。高品質なディスプレイや、優れたセキュリティ機能も特長です。HDMIポートは無いので別途アダプタが必要です。さらに高性能なM3チップや「MacBook Pro」などもありますが、価格も高くなります。
※各商品の詳細な性能等は、メーカー公式サイト等にてご確認ください。
まとめ
医師の皆さまがノートパソコンを選ぶ際のチェックポイントやオススメについて、ご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
人それぞれ好みや予算、求める機能も違うかと思います。オーバースペックにならないようにコスパ重視で選ぶのもいいですし、予算の許す限りハイスペックにカスタマイズするのもいいでしょう。
自分が満足できて快適に使用できるパソコンが見つかれば、きっと作業の効率もアップすることでしょう。この記事が、皆さまのノートパソコン選びに役立てば幸いです。